バイオジェニクスとは?
バイオジェニクスとは、摂取することで直接的に免疫機能を高めたり、コレステロールの低下や老化の予防をしたりする食品成分のことを言います。
この考え方は、農学博士・微生物学者である光岡知足によって1990年代に提唱されました。
バイオジェニクスに該当する食品成分、プロバイオティクス・プレバイオティクスの概念との違いなどについて説明していきます。
目次
食品の3つの機能|機能性食品とバイオジェニクス
食品の持つ機能は、もともと次の2つであると考えられていました。
・生命の維持に必要な栄養を補給する機能(一次機能)
・味や香り、食感などで味覚を刺激する機能(二次機能)
これらの2つの機能に加えて食品の病気を予防したり、体調を整えたりする機能について、1980年代に当時の文部省、厚生省が研究、取りまとめを進めました。
その結果、食品の持つ機能として体調を調節する機能(三次機能)を解明し、機能性食品について次のように定義しました。
機能因子を活用して生体調節機能が有効に発揮できるように設計され、生活習慣病の一次予防ないし疾病のリスク低減に寄与する食品
バイオジェニクスは、この食品の三次機能に注目して生まれた概念と言えます。
バイオジェニクスに該当する食品成分は?
バイオジェニクスには、次のような食品成分が該当します。
- 乳酸菌生産物質
- 乳酸菌などの菌体成分
- DHA
- EPA
- 植物性ポリフェノール
- 生理活性ペプチド
- フラボノイド
- カロチノイド
- ビタミン
バイオジェニクスとプロバイオティクス/ プレバイオティクスの違い
バイオジェニクスと同じように、食品の三次機能に関連した考え方にプロバイオティクスやプレバイオティクスと言うものがあります。
プロバイオティクスやプレバイオティクスは、腸内フローラに働きかけます。
ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やし、人体に悪い影響のある悪玉菌の繁殖を抑制することで腸内フローラを善玉菌優勢の良好な状態に近づけます。
腸内フローラが良好になることで、便秘や下痢を改善しお腹の調子を整えたり、老化などの原因となる活性酸素を減らしたりするなどの働きをします。
一方で、バイオジェニクスは腸内フローラではなく、直接生体に作用して免疫機能を高めるなどの働きをします。
バイオジェニクスの生体への働き
バイオジェニクスの代表的なものでもある乳酸菌生産物質を例に、その働きを見ていきましょう。
乳酸菌生産物質とは、乳酸菌が代謝を行うことでできる物質のことです。
乳酸菌生産物質は、腸内免疫を刺激したり、コレステロール、血圧、血糖を安定させたり、活性酸素を抑制したりすることで生活習慣病や老化を予防します。
バイオジェニクスのメリット・デメリット
バイオジェニクスは、腸内フローラを通さなくても、直接的に生体に働きかけることができる点がメリットであると言えます。
また、乳酸菌やビフィズス菌などを十分な量を継続して摂ることは簡単なことではありません。
しかし、バイオジェニクスの考えでは、必ずしも生きた乳酸菌である必要はありません。
バイオジェニクスの1つである乳酸菌の菌体成分は、生きた菌ではなくても、死菌でも構わないと考えられています。
そうであれば、菌体成分をサプリメントなどに凝縮して摂取することも可能です。
一方で、もともと腸内に住み着いていた菌とは異なるので、人の腸内では増殖、定着はしないというデメリットもあります。
バイオジェニクスのサプリメントはある?
乳酸菌生産物質やDHA、EPAなどの成分を含んでいるサプリメントであれば、バイオジェニクスにあたる食品成分を効率的に摂取することが可能です。
ただし、バイオジェニクスであってもサプリメントはあくまでも食品であることには変わりません。
サプリメントは、年齢の変化や普段の食生活が乱れることなどで十分に摂取することができない成分を補うことが目的です。
サプリメントは、栄養を補助するものであることをしっかりと認識して、食生活や、適度な運動、適切な睡眠についても心がけることが重要と言えそうです。