マイクロバイオームとは何?
人の体の内外には、非常に数多くの細菌が住み着いています。
中でも、腸に住んでいる細菌は腸内細菌と呼ばれており、食事の消化、吸収にも関係しています。
このような細菌の集合体をマイクロバイオームといい、特に人の体の内外に存在する細菌の集合体をヒト・マイクロバイオームと呼びます。
目次
マイクロバイオームが注目されている理由は何?
近年、マイクロバイオームに関する研究が進むにつれて細菌の持つ効果が徐々に分かってきたことが、一般でもマイクロバイオームと言う言葉を聞くようになった理由であると言える。
例えば、腸内細菌は、摂取した食べ物を栄養分に分解する機能の他、アレルギーや肥満の症状を抑える働きを持つのではないかと言われている。
このような科学の発展、進歩にスーパーコンピューターによる解析技術が多いに貢献しています。
ある人がどのような病気にかかりやすいのか、どのような傾向を持っているのかは、その人の持つゲノムを見れば分かると言われています。
ヒトゲノムにはどのような遺伝的情報が記されているのかを解析するプロジェクトであるヒトゲノム計画が、1953年から2003年まで行われていました。
このヒトゲノム計画の結果、ヒトゲノムに関する研究は次の段階に進んでいる一方で、マイクロバイオーム研究に関する問題も出てきました。
人のゲノムは細菌のゲノムよりも少ない?
ヒトゲノムの研究が進む一方で、その人の未来の健康的リスクを知るにはその人のゲノムを解析するのみでは不十分であるということが分かってきました。
それは、ヒトゲノムの100倍以上のゲノムがその人のマイクロバイオームには存在するからです。
つまり自身について知るには、ヒトゲノムに加えて、マイクロバイオームのゲノムの解析も必要ということです。
マイクロバイオームとマイクロバイオータとの違いは?
マイクロバイオームもマイクロバイオータも、似たような意味で使用されますが、次のような違いがあります。
マイクロバイオータ:ある環境に存在する微生物の集合体。
マイクロバイオーム:マイクロバイオータの持つ遺伝子群。
つまり、マイクロバイオータとは微生物の集まった集合体を指し示す一方で、マイクロバイオームはそれらの持つ遺伝子を含めた言い方ということです。
一人として同じ人間がいないように、同じマイクロバイオームも存在しません。
そのため、人によって消化が可能な栄養分が異なる、と言うことが起こり得るのです。
マイクロバイオーム研究によって分かってきた細菌の働き
マウスによる実験結果である場合も多いですが、マイクロバイオームはアレルギーの症状や肥満などにも関係していると言われています。
ヒトマイクロバイオームに影響を与えるものの1つに、抗生物質があります。
抗生物質は、人体にとって有害な微生物の働きを阻害することが主な目的ではありますが、マイクロバイオータ全体にも影響があると言われています。
そのため、抗生物質を与えられた乳幼児は、そうでない乳幼児と比較して肥満になりやすいという調査結果があります。
健康的な生活は健康的なマイクロバイオータを維持することと密接に関わっていると言えるでしょう。
良いマイクロバイオームを作るには
マイクロバイオームは、抗生物質の他にも、様々な生活習慣、食習慣の影響を受けるのではないかと考えられています。
欧米のような肉中心の食生活が進んだことや、賞味期限を伸ばすための食品テクノロジーはこれまでにはなかった影響をマイクロバイオームへ与える可能性があります。
健康のマイクロバイオームとは何かを一概に言うことはできませんが、1つは多様な細菌が住んでいることです。
ヒトの持つゲノムよりもずっと多い遺伝子量を持つマイクロバイオームがより多様性に飛んでいることで、様々な状況に対応できる可能性が高まります。
しかし、偏った食事を繰り返していると、特定の栄養素を好むような腸内細菌が増えていき、その他の菌が数を減らしたり、最悪のケースでは絶滅する可能性もあります。
このような状況を防ぐためにも、肉だけではなく野菜や魚なども積極的に取ることや、加工や過度な消毒などがされていない食品の摂取を心がけることが重要となります。